佐々木竹見・王者の眼差し
プロフィール
佐々木竹見

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。
"鉄人"の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

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スパーキングレディーカップ&湘南江の島海の女王杯&キュンとするまち。藤沢杯

(2017/8/9)

7月3~7日の開催でメインとして行われたJpnIIIのスパーキングレディーカップは、関東オークスで2着だった3歳馬、アンジュデジールが古馬相手に快勝。鞍上は横山典弘騎手でした。大井のララベルが2着に入り、連覇を狙ったホワイトフーガは4着でした。

開催最終日の第10レース、湘南江の島海の女王杯は、今野忠成騎手のムーンライトハニーがゴール前で鮮やかに差し切り勝ち。そして同日メインの、キュンとするまち。藤沢杯は、新人・櫻井光輔騎手のコスモパープルがラチ沿いから抜け出しました。

今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

スパーキングレディーカップ(優勝馬アンジュデジール)2017年7月6日(木)
関東オークス(優勝馬クイーンマンボ)
斎藤 予想通り1番枠からトーコーヴィーナスが逃げて、ララベルが2番手。勝ったアンジュデジールはそのうしろでした。
竹見 好位のラチ沿いは、川崎のマイル戦としては絶好の位置です。2番枠のホワイトフーガは外に出したかったのでしょう、スタート後に一旦位置取りを下げて外に持ち出しました。斤量を背負っている(58キロ)こともあって、少し仕掛けたらハミを取って行きたがる場面もありました。
斎藤 3コーナー過ぎ、ホワイトフーガは抜群の手ごたえで前をとらえに行きました。
竹見 川崎の4コーナーはどうしても仕方ないのですが、少し外に膨れてしまいました。ララベルが馬体を併せてきて、内が1頭分空いたところをアンジュデジールが抜けてきました。これは横山典弘騎手の好騎乗でした。それにしても52キロでの騎乗は、横山騎手は大変だったのではないでしょうか。
斎藤 ララベルは惜しいレースでした。
竹見 3コーナー過ぎでは先に先頭に立って、ホワイトフーガが来るのを待っていました。真島騎手は最高にうまく乗ったと思います。ただ、勝った馬に勢いがありました。ホワイトフーガは、勝ったアンジュデジールとは6キロ差。その斤量差もあったと思いますが、オトコ馬との対戦があって今年5戦目は、少し使い過ぎのような気もします。
湘南江の島海の女王杯(優勝馬ムーンライトハニー)2017年7月7日(金)
斎藤 今野騎手のムーンライトハニーは、縦長の中団よりうしろからの追走でした。
竹見 スタート後の直線は、的場騎手、山崎騎手、赤岡騎手などが競り合っていたので、今野騎手は前には行きませんでした。最初から意識して控えたと思います。
斎藤 今野騎手は3コーナーあたりから位置取りを上げていきました。
竹見 そのあたりでも今野騎手の手ごたえは楽なまま。上ってきた勢いもあったので、4コーナーでは前にいる3頭の大外に行きました。
斎藤 直線でも離れた外から差し切りました。
竹見 3コーナー過ぎからずっと叩いてきたので、直線を向いて内に刺さるようなところがありました。それで直線は外へと進路を修正したのでしょう。そのまま左ムチで叩いていますから、そのあとは自然と外に行ったと思います。今野騎手はこの開催で6勝。赤岡騎手と並んで勝利数はトップで、この開催は乗れていました。
キュンとするまち。藤沢杯(優勝馬コスモパープル)2017年7月7日(金)
斎藤 勝った櫻井騎手のコスモパープルは、スタート後は行く気を見せましたが、控えて4番手からでした。
竹見 前の2頭が向正面まで競り合っていましたから、控えたのは好判断でした。このレースに限らず、櫻井騎手はコースの取り方がうまいです。4番手のいい位置につけることができました。
斎藤 前2頭が飛ばしたことで、縦長の展開になりました。
竹見 外の真島騎手のドリームキングが譲らずピタリとついて行きましたから、ペースが速くなりました。3コーナー過ぎで真島騎手が馬なりで単独先頭に立ったときは楽勝かと思いましたが、最後、2頭に差されたのは、おそらく向正面まで競り合ったぶんでしょう。
斎藤 櫻井騎手のコスモパープルは直線、内から伸びてきました。
竹見 あとは前だけつかまえればという競馬で、仕掛けのタイミングもよかったと思います。ただ、追ってくるときに自分の頭がブレるところなど、まだ直すところはあります。ゴールの瞬間、ガッツポーズをしていましたが、「ガッツポーズより、馬を褒めてやれ」と、櫻井騎手に会ったときに言っておきました。追い込んで2着に入った保園騎手は、いい姿勢で追ってきます。ゴールの瞬間は馬に手綱をくれてやって、ドリームキングをとらえて2着に入ったところなどは素晴らしいです。

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