佐々木竹見・王者の眼差し
プロフィール
佐々木竹見

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。
"鉄人"の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

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クラウンカップ&2016春・川崎ジョッキーズカップ&エイプリル賞

(2016/4/18)

3月28日~4月1日の年度をまたいでの開催のメインは、3歳馬の重賞クラウンカップでした。勝ったのはガーニーフラップで、乗替りとなった大井の的場文男騎手が、自身のもつ地方競馬最高齢重賞勝利記録更新となりました。

開催最終日に行われた恒例の2016春・川崎ジョッキーズカップは、1番人気に支持された藤江渉騎手のトウカイガンバが好位追走から直線で抜け出しての快勝となりました。続く第9レース、エイプリル賞では、タイセイボルトに騎乗した町田直希騎手は後方待機策から3~4コーナーでの豪快なマクリで差し切り勝ちを決めました。

今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

クラウンカップ(優勝馬ガーニーフラップ) 2016年3月30日(水)
クラウンカップ(優勝馬ガーニーフラップ)
斎藤 ガーニーフラップの的場騎手は、6番手あたりの内で、スタートから追い通しでした。
竹見 勝たないといけないという気持ちはあったかもしれません。直線の末脚で勝負するタイプですから、もう少し抑えて行ってもよかったかと思って見ていました。
斎藤 的場騎手は4コーナー手前で外に持ち出して差し切りました。
竹見 3コーナーからほかの馬が仕掛けていったところ、的場騎手も手を動かしてはいましたが、行く馬を行かせて4コーナーの手前まで待って仕掛けていきました。直線を向いてプレイザゲームが先頭に立っていましたが、これは仕掛けが少し早かったような気がします。ガーニーフラップは、終いの脚がいいので、的場騎手はそれをよく引き出したと思います。人気馬に乗っていると、どうしてもほかの馬が仕掛けていったときに、遅れないように仕掛けて行きがちですが、そういうときこそ、我慢して一呼吸置いてから仕掛けていったほうがいいです。仕掛けを遅らせたことで、4コーナーでうまく外に出すこともできました。そのあたりは、さすが的場騎手です。ガーニーフラップは、さらに距離が延びてもよさそうです。
2016春・川崎ジョッキーズカップ(優勝馬トウカイガンバ) 2016年4月1日(金)
斎藤 逃げたのは山林堂騎手で、藤江騎手のトウカイガンバはすんなりと4番手からでした。
竹見 山林堂騎手はスタートから思い切って行きました。最初から逃げるつもりで行ったのでしょう。それが結果的にはよかったと思います。藤江騎手は落ち着いて外目を追走していました。
斎藤 4コーナーで藤江騎手は、あとは逃げ馬をとらえるだけという競馬でした。
竹見 トウカイガンバは、藤江騎手がずっと乗ってる馬ですから、自信を持って乗っていたと思います。このメンバーでは馬の力も抜けていました。
斎藤 逃げたロミオが2着に粘りました。
竹見 スタートで無理して行ったのでどうかと思いましたが、よく粘りました。ロミオは、いろいろな騎手が乗って、結果を出せないときもありましたが、3走前に郷間騎手で逃げて勝っていたので、おそらく調教師から逃げるように指示があったのではないでしょうか。
斎藤 3着には今野騎手のスガキュールが追い込んできました。
竹見 スガキュールは終いのいい馬です。今野騎手は乗替りでもそれをよく引き出しました。
エイプリル賞(優勝馬タイセイボルト) 2016年4月1日(金)
斎藤 勝った町田騎手のタイセイボルトは後方2番手からでした。逃げたのは坂井英光騎手のポッドブルで、スタート後は中団にいた的場騎手のトーホウビーストが1~2コーナーで並びかけて行きました。
竹見 スタート後の直線でペースが遅かったので、的場騎手は仕掛けて一気に並びかけて行ったんだと思います。それでも向正面に入ると落ち着いて、それほど速いペースにはなりませんでした。
斎藤 町田騎手は3コーナー過ぎから一気にまくっていきました。
竹見 仕掛けるタイミングはよかったと思います。それにしてもこのペースで、うしろから行ってよく勝ちました。1番人気のポッドブルは楽なペースで逃げて、直線でも先頭だったので、これは勝った町田騎手のほうを褒めるべきでしょう。
斎藤 この日に早くもデビューした中越琉世騎手は、これが2戦目(10着)でしたが、いかがですか。
竹見 調教に乗っているところも見ましたが、手綱をぐっと引っ張って、しっかり手綱を使えているのはいいと思います。このレースでは少し掛かっていましたが、まだまだこれからです。1カ月くらいは現役馬の調教に乗り込んで、それからでしょう。

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