佐々木竹見・王者の眼差し
プロフィール
佐々木竹見

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。
"鉄人"の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

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関東オークス&涼風特別&川崎スパーキングスプリント

(2015/6/29)

6月8~12日の開催のメインとして行われた関東オークスは、JRAのホワイトフーガが2着に大差をつけての圧勝でした。

その日の最終レースとして行われた涼風特別は、ダンディスタイルが離れた最後方追走から差し切るという大胆な競馬。瀧川寿希也騎手が9番人気馬を勝利に導きました。

翌11日に行われた川崎スパーキングスプリントは、先行2頭、カベルネフランとキョウエイロブストの追い比べとなって、最後はカベルネフランが振りきりました。このレースも殊勲の鞍上は瀧川寿希也騎手でした。

今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

関東オークス(優勝馬ホワイトフーガ) 2015年6月10日(水)
関東オークス(優勝馬ホワイトフーガ)
斎藤 地方勢がハナを争ってレースを引っ張る展開でした。
竹見 兵庫のトーコーヴィーナスは好スタートでしたが、田中学騎手は控えて3番手でした。隊列が決まると、最初の4コーナーあたりからは一気にペースが落ちました。それで掛かりそうになって、ゴール板過ぎで一気に先頭に立ったのがホワイトフーガです。人気のアルビアーノも1コーナーを回るあたりでは3番手のいい位置につけていました。
斎藤 ホワイトフーガは向正面から楽な逃げになりました。
竹見 3コーナーあたりでもホワイトフーガの大野騎手の手ごたえは楽なままでした。対して、2番手以下のトーコーヴィーナス、アルビアーノは追い通しになっていました。直線ではホワイトフーガが大差をつけての圧勝でした。外枠だったのもよかったですし、ペースが遅くなかったところで無理に抑えずスーッと先頭に立ってという、展開もよかったと思います。馬も強いですが、抑えずに行かせたことでの圧勝になりました。出てくるかどうかはわかりませんが、ジャパンダートダービーあたりで大井の長い直線は、この馬に向いていると思います。
斎藤 2着は4番人気のポムフィリアでした。
竹見 ポムフィリアは、最初から無理させず控えての追走で、さすがに戸崎騎手は落ち着いて乗っていました。アルビアーノは、体型的にも芝向きなのかもしれません。
涼風特別(優勝馬ダンディスタイル) 2015年6月10日(水)
斎藤 瀧川騎手のダンディスタイルは、スタート後、最後方で内に切れ込んで行きました。
竹見 おそらく調教師からそういう指示があったのでしょう。下げて内へというのは、最初から決めていたと思います。前の2頭が競り合ってペースが速くなったこともダンディスタイルに味方しました。1~2コーナーあたりではかなり縦長になって、離れた最後方でした。前2頭からはやや離れた3番手集団でもペースは速かったと思います。1番人気で2着になるアキノリングの森騎手も中団よりうしろからの追走でした。
斎藤 3コーナー手前からレースが一気に動きました。
竹見 まず山崎真騎手のケイティケンタが動いていって、ダンディスタイルはそのうしろから、人気のアキノリングはさらに遅れての仕掛けでした。
斎藤 直線ではダンディスタイルが見事に抜け出しました。
竹見 ケイティケンタが先に仕掛けて、それを目標にできたのもよかったと思います。1番人気の森騎手にとっては、勝ち馬にこういうレースをされては仕方ありません。結果的に、掲示板はすべてうしろからレースを進めた馬でした。それにしても瀧川騎手はうまく乗りました。瀧川騎手はスタートで出遅れることもないですし、コースの取り方もいいです。最近では川崎以外の馬にもかなり乗っていて、活躍が目立ちます。追い出してからの姿勢も、以前よりかなりよくなりました。
川崎スパーキングスプリント(優勝馬カベルネフラン) 2015年6月11日(木)
斎藤 瀧川騎手のカベルネフランが好ダッシュで、山崎誠士騎手のキョウエイロブストが2番手でした。
竹見 瀧川騎手は内枠だったこともあって、逃げに迷いはありません。スタートのタイミングもいいし、そのあと追って先頭に立つタイミングも抜群です。スタートダッシュで行けたぶん、3コーナー過ぎでは息を入れることができました。
斎藤 最後まで2頭で競り合って、カベルネフランが1馬身差をつけて振りきりました。
竹見 キョウエイロブストが交わすかと思いましたが、カベルネフランはよく粘りました。この距離のレースは、スタートからスムーズに行けた馬がやはり強いです。特に川崎は直線が短いですから。直線が長い大井であれば、短距離でも直線で差してくるということもありますが、川崎ではよほど前がオーバーペースで飛ばさない限り、うしろから差してくるというのは難しいです。

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