佐々木竹見・王者の眼差し
プロフィール
佐々木竹見

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。
"鉄人"の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

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エンプレス杯&うぐいす特別&沈丁花特別

(2016/3/18)

2月29日~3月4日の開催のメインとして行われたエンプレス杯は、実績断然のアムールブリエが勝利。鞍上は、主戦の濱中俊騎手が負傷療養中のため、関東オークス(3着)以来となった武豊騎手でした。

初日に行われた3歳馬のうぐいす特別は、山崎誠士騎手のディーズプリモが勝って、デビューから3連勝としました。3日の最終レース沈丁花特別は、ホッカイドウから移籍したグランヴァンが、こちらも山崎騎手で3連勝。山崎騎手はこの開催7勝という活躍でした。

今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

エンプレス杯(優勝馬アムールブリエ) 2016年3月2日(水)
エンプレス杯(優勝馬アムールブリエ)
斎藤 ティンバレスが逃げて、武豊騎手のアムールブリエは無理には行かず2番手からでした。
竹見 武騎手がピタリと2番手で隊列が決まったため、ペースはかなり落ち着いたものになりました。4、5番手の内に入ったイントロダクションなどは、スタンド前では行きたがって横山騎手は抑えるのに必死でした。さらに吉原騎手のオープンベルトが外でフタをする形になったので、横山騎手は外に持ち出すこともできませんでした。
斎藤 3コーナー過ぎまで、前の有力馬の隊列は変わりませんでした。
竹見 向正面からペースは徐々に上がったのですが、アムールブリエが動いていかないので、さすがにそれを無理に負かす馬もいませんでした。負かしに行けば、その馬自身が苦しくなってしまいます。
斎藤 逃げたティンバレスは3着でしたが、結局は前に行った3頭での決着でした。
竹見 それだけペースが遅かったということでしょう。アムールブリエはスローでも折り合いがつくので、長い距離で力を発揮すると思います。そんな中で、2着だったヴィータアレグリアは、アムールブリエの直後、内の3番手でじっと構え、直線で脚を使って結果を出したということでは、戸崎騎手の好騎乗でした。イントロダクションは直線伸びなかったのは、道中ずっとかかっていたためでしょう。
うぐいす特別(優勝馬ディーズプリモ) 2016年2月29日(月)
斎藤 山崎騎手のディーズプリモは、好スタートからハナに立ちましたが、向正面で行く馬がいたので3番手に下げました。
竹見 矢野騎手のケイエスソードがかかって行って、さらに真島騎手のアンビリーバボーもそれにつられるように行ったので、それらを先に行かせて、山崎騎手はまだまだ余裕がありました。普通はあそこで前に行かれたら厳しくなるところですが、おそらく力が違うことはわかっていたのでしょう。
斎藤 4コーナーでは前2頭の外に持ち出して交わしにかかりました。
竹見 直線を向いて交わしていくときも、山崎騎手は余裕の手ごたえでした。デビューから2戦は逃げ切りでしたが、ここで控える競馬を経験できたのは収穫だったと思います。この馬はまだまだこれから強くなりそうです。今回のメンバーでは格が違いました。
沈丁花特別(優勝馬グランヴァン) 2016年3月3日(木)
斎藤 山崎騎手のグランヴァンは控えて3番手の内を追走しました。
竹見 グランヴァンは一番いいスタートを切りましたが、最初から控えるつもりでという競馬だったと思います。3~4コーナーで後ろから来た馬に先に行かれましたが、追い出しを我慢する余裕がありました。直線で楽に前を交わして、このクラスではまったく力が違っていたというレースぶりでした。
斎藤 注目の藤田菜七子騎手は、2番手を追走して、4コーナーから直線で先頭という場面がありました。
竹見 藤田騎手はゲートもうまく出ていたし、まわりの馬の動きもよく見ています。川崎の小回りコースでもコーナーをうまく回っていました。4コーナー手前では、内と外から挟まれて後退しそうになりましたが、あそこは思い切って行ったのが正解です。あそこで控えたら、おそらく出るところがなかったでしょう。結果は3着でしたが、このレースに限らず、この日がデビューとは思えない騎乗ぶりでした。追っても姿勢が崩れません。

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