佐々木竹見・王者の眼差し
プロフィール
佐々木竹見

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。
"鉄人"の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

記事

戸塚記念&豊年特別&若武者賞

9月は2日~5日の4日間開催でした。メインとして行われた戸塚記念は、石崎駿騎手のトラバージョが黒潮盃からの連勝で強い勝ち方を見せました。

初日に行われた3歳馬による豊年特別は、藤江渉騎手のフェイスフルハートがしぶとく粘り、昨年10月のデビュー2戦目以来久々の勝利となりました。

最終日に行われた2歳馬のJRA認定競走、鎌倉記念トライアルの若武者賞は、山崎誠士騎手のブルーセレブが馬場の真ん中を伸びて一気に突き抜けました。

今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

戸塚記念(優勝馬トラバージョ)2013年9月4日(水)
戸塚記念優勝馬:トラバージョ号
斎藤 左海騎手のリアライズリンクスが後続をやや離す形で逃げて、勝った石崎駿騎手のトラバージョは3番手の外につけました。
竹見 トラバージョは、スタートはあまりよくない馬ですが、今回はうまくゲートを出たので、絶好の位置がとれました。終いがいい馬なので、この位置がとれればという感じのレースになりました。長い距離のレースでは、好位の有力馬にとっては、今回のリアライズリンクスのように飛ばしてくれる馬がいるとレース展開が楽になります。
斎藤 トラバージョは直線追い出されると独走になりました。
竹見 前回黒潮盃では馬込みの中でごちゃつくところがあっても勝ったのですが、今回はすんなりと3番手ですから、力の違いを見せました。
斎藤 2番人気のカイカヨソウは、3~4コーナーで勝ち馬に並びかける勢いでしたが、直線離されて3着でした。
竹見 この馬は左回りはあまりよくないようです。浦和の桜花賞のときもあまりうまくコーナーを回れませんでした。右回りの大井のほうがいい走りをします。
豊年特別(優勝馬フェイスフルハート)2013年9月2日(月)
斎藤 縦長の展開になりました。
竹見 外枠から瀧川騎手がハナを取りにいっています。おそらく調教師からの指示があったのではないでしょうか。内で一旦は行く気を見せた左海騎手のマニール、それに繁田騎手のフェイストライも続いて、ハイペースになりました。勝った藤江騎手のフェイスフルハートはそのうしろから。このあたりがペース的にはいい位置だったと思います。
斎藤 カメラが馬群のうしろのほうを映していた3コーナー過ぎで、いつの間にか藤江騎手が先頭にいました。
竹見 前はやはりペースが速かったのでしょう。前に行った3頭とも3コーナー過ぎで後退してしまいました。フェイスフルハートは3コーナー手前からラチ沿いを上がっていっています。
斎藤 最後は岡部騎手のフクジュソウが追い込んできましたが、クビ差で振りきりました。
竹見 フェイスフルハートは3コーナー手前から内々を回って行ったのが勝因でしょう。普通ならフクジュソウが差し切っていたと思いますが、藤江騎手はペースやコース取りなど、かなり恵まれた面もあったと思います。
若武者賞(優勝馬ブルーセレブ)2013年9月5日(木)
斎藤 勝った山崎騎手のブルーセレブは、縦長の中団からの追走でした。
竹見 道悪で前が速くなったということもあったかもしれません。それでも向正面でペースが上がったときには、先行集団の直後につけました。山崎騎手は自信を持って乗っていたと思います。
斎藤 3~4コーナーからは大外を回して上がって行きました。
竹見 直線はすごい脚を使って、先に抜けていたファーストキスを楽につかまえました。山崎騎手は、ブルーセレブが終いに使える脚をわかっていたのでしょう。2歳馬で、こういう道悪で、控える競馬ができるというのは、今後に期待ができます。
斎藤 デビューから2連勝で1番人気に支持された酒井騎手のウィンカイザーは見せ場なく8着でした。
竹見 ダッシュがよくない馬で、この馬場ですから。それに1戦目と2戦目は少頭数の競馬で、今回は一気に頭数が増えましたから、そういうところもあったかもしれません。

2013年10月15日

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