佐々木竹見・王者の眼差し
プロフィール
佐々木竹見

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。
"鉄人"の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

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騎手・佐々木竹見、復活の日~第2回ジョッキーマスターズ(スペシャルエピソード1)

11月9日、東京競馬場で行われた「第2回ジョッキーマスターズ」には、 アジア競馬会議の開催に合わせ、89年のジャパンCをホーリックスで制したランス・オサリバン元騎手(ニュージーランド)、95年の同レースをランドで制したマイケル・ロバーツ元騎手(南アフリカ)という2名の外国人騎手を招待。そして地方競馬からは、我らが佐々木竹見さんが参戦した。

4頭が叩き合いとなるゴール前の大接戦には竹見さんも加わり、半馬身差の2着と大健闘。興奮冷めやらぬレース翌日、レース映像を見ながら、竹見さんにお話しをうかがった。(取材・文/斎藤修)

斎藤 竹見さんの斤量は、52キロでいちばん軽かったですよね。あれは、自分の体重に鞍を持っただけだったんですか。
竹見 そう。でも、みんな軽かったよ。河内さんが53.5キロ、岡部さんも55キロでしょ。南井さんなんかは、だいぶ前から乗ってたらしいよ。レース前は汗取りまでしてたみたいだし。でもロバーツさんだけは62キロで、背は小さいんだけでど、腹はポコッと出てた(笑)。
斎藤 鐙もかなり短かったですよね。
竹見 鐙は(メンバーの中で)一番短かったかもしれない。もっと短くしようかとも思ったんだけど、現役のときより穴ひとつぶん長くしたかな。ほかのみんなはだいぶ長かったみたいだけど、オレは鐙長かったらダメだ。
斎藤 小島太調教師のスターターは似合ってましたよね。

竹見 地下馬道にいるときに、小島太さんに「竹見さん」て声かけられたけど、最初誰だかわかんなかったんだよ(笑)。
斎藤 スタートはどうでしたか。
竹見 うん、まあまあ。ゲートだけは出遅れないようにしていたので。
竹見 レースでは、オサリバンさんの芦毛が行くんじゃないかって聞いてたんだよ。じゃあ、2番手くらいでもいいかなって思ってたの。そしたら河内さんの馬のダッシュがよくて、手ごたえもよかったね。こっちもスタートがよかったから、そのま2番手について行ったんだよ。(調教をつけていた)岡部さんからは、口が堅くて行きすぎるくらいの馬だからって聞いてたんだけど、なんだかフワフワしちゃって、反応がないんだわ。だからオレのほうは、ちょこちょこ追っていったよ。
斎藤 3~4コーナーあたりで一気に行ってしまうかと思って見ていたんですが。
竹見 いや、行けなかったんだよ。なんだかぜんぜん反応しなくなって下がっちゃった。4コーナーをまわるくらいまで、もう少し手ごたえがよければ、直線ではもっと伸びたと思うんだけど。
斎藤 直線で追い上げたときは、手ごたえも戻ってきたんですか。
竹見 直線ではハミがかかってくれたからよかったけど、乗ってるほうが一杯だった(笑)。
斎藤 ゴール前、4頭の叩き合いはどうでした。
竹見 いや、もう無我夢中だったな。やっぱり東京の直線は長いよ。
斎藤 内から岡部さんが伸びて、2着か3着かというのはわかりましたか。
竹見 2着だっていうのは、はっきりわかった。最後、河内さんを交わせなかったのは残念だったけど、それでも無事に終わったからよかった。
斎藤 終わってみてどうでしたか。
竹見 ゴール前は、もっと気合をつけてくればよかったなとは思ったよ。

でも、こうやってまだ馬に乗っていられるから幸せだよ。オレももう67歳だもんな。いつこんなに年をとったのかなって思うよ(笑)。
河内さんなんかは調教師やってるでしょ。で、毎日馬を見て、乗る機会もあって、ずっと気も張ってるから、だから体もだいじょうぶだと思うんだ。ところが、引退した岡部さんとかオレなんかは、精神的に楽をしてるでしょ。そういうのも馬に対しては違うんだよ。

でも今回は岡部さんが一番苦労していた。あれだけの馬をぜんぶ仕上げたんだから。ほんとうにありがたいよ。岡部さんには感謝しないと。

斎藤 またレースに乗りたくなりましたか。
竹見 もう一度こういうレースに乗るようなことがあれば、調教のときにはズブいような馬に乗って、3コーナーくらいから追ってくるような感じでやっておかないと。東京コースは直線が長いからね。

それから、春ごろからたまに乗っておかないとダメだね。だいじょうぶだろうと思っていたけど、いろんなところが痛くなった。もう少し日にちをかけてじっくりやればよかった。

もうちょっと休んだら、また1頭か2頭くらい乗ったほうがいいかな。せっかく体ができたんだから。

今後は、各開催ごとに気になったレースや話題のことを伺います。

次回をお楽しみに。

2009年1月9日

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