佐々木竹見・王者の眼差し
プロフィール
佐々木竹見

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。
"鉄人"の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

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関東オークス&さくらんぼ特別&スパーキングデビュー新馬

6月10日~14日の開催では、3歳牝馬による交流の関東オークスが行われました。地元川崎勢では、中央から転入初戦のフォレノワールに期待がかかりましたが、惜しくも4着。中央勢が3着までを占める結果となり、勝ったのは岩田康誠騎手のアムールポエジーでした。

11日の最終第11レースでは、町田直希騎手のバンドネオンが、中団追走から鮮やかに直線一気の追い込みを決めました。

また、この開催からは2歳戦もスタート。14日の第2レースでは、酒井忍騎手のウィンカイザーが、スタート後は後方に取り残されながらも直線で楽々と差し切るという強い勝ち方を見せました。

今回はこの3レースについて佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

関東オークス(優勝馬アムールポエジー) 2013年6月12日(水)
関東オークス優勝馬:アムールポエジー号
斎藤 繁田騎手のデイジーギャルが飛ばして行きました。
竹見 川崎の2100メートル戦は、普通は1周目のスタンド前でペースが落ち着くのですが、デイジーギャルが飛ばしたので、あまりペースは落ちませんでした。繁田騎手はもう少しペースを落としてもよかったように思います。
斎藤 岩田騎手のアムールポエジーが単独で2番手を追走しました。
竹見 前がちょっと飛ばしすぎていたので、実際にはアムールポエジーがハナを切っているのと同じです。
斎藤 3コーナーの手前でデイジーギャルが後退しました。
竹見 アムールポエジーの岩田騎手は、先頭に立ってかなり早くから追い出していますが、道中で馬がフワフワ遊ぶようなところがあったのでしょう。それで気合を入れたんだと思います。
斎藤 直線では楽に差を広げました。
竹見 2着のオメガインベガスに5馬身差、3着にはさらに4馬身差をつけました。アムールポエジーはまだまだ強くなりそうで、これから先、牝馬同士なら相当に期待できそうです。
さくらんぼ特別(優勝馬バンドネオン) 2013年6月11日(火)
斎藤 バンドネオンの町田騎手は、スタート後は無理には行かず中団からでした。
竹見 新人の瀧川騎手のエンジェルガールが行く気を見せてハナを奪いましたが、外から江川騎手のトーセンストーリーが競りかけてペースが速くなり、縦長の展開になりました。人気になった今野騎手のクライフォザムーン、御神本騎手のインプレーザが並んで3番手あたりの好位、町田騎手はさらにうしろでしたが、もともと後ろのほうから行く馬ですから、前のペースを考えればいい位置取りだったのではないでしょうか。
斎藤 町田騎手は3~4コーナーから追いどおしでまくってきました。
竹見 町田騎手はこの馬にデビューからずっと乗っていて、最後に使える脚があるのはわかっていたでしょうから、今回はそれをよく引き出したと思います。ハイペースを読んで、人気馬を前に見て、直線差し切るという、好騎乗だったと思います。
スパーキングデビュー新馬(優勝馬ウィンカイザー) 2013年6月14日(金)
斎藤 酒井騎手のウィンカイザーはスタートでダッシュがつきませんでした。
竹見 ゲートは普通に出ましたが、そのあと内によれて置かれてしまいました。そのあともしばらくまともに走っていません。
斎藤 3コーナー手前では、先頭から10馬身ほども遅れて、絶望的な位置に思えましたが。
竹見 拝原騎手のモービーバイパーがいい感じで逃げていましたから、この馬が勝つのかと思いました。
斎藤 それでも3コーナーからは一気に前との差を縮めてきました。
竹見 4コーナーで外に持ちだして、それでも直線ではモービーバイパーとは差があってどうかと思いましたが、ゴール前で使った脚には驚きました。経験を積んで、レースに慣れてくれば相当な馬になると思います。逃げ一辺倒の馬より、終いに脚を使える馬は出世します。こういう素質のある馬は、無理せず大事に使っていったほうがいいと思います。

2013年7月9日

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