佐々木竹見・王者の眼差し
プロフィール
佐々木竹見

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。
"鉄人"の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

記事
ホーム > カワサキケイバマニアックス > 佐々木竹見・王者の眼差し > スパーキングレディーカップ&夾竹桃特別&城ケ島特別

スパーキングレディーカップ&夾竹桃特別&城ケ島特別

7月13日~17日の開催では、15日にホクトベガメモリアル スパーキングレディーカップ(JpnIII)が行われました。断然人気となった3歳のラヴェリータが、関東オークス(JpnII)に続く完勝で、初の古馬相手に堂々のレースぶりでした。また、同じく関東オークス(3着)から臨んだ川崎のアンペアも、直線的場文男騎手のムチにこたえて5着と健闘しました。

今回は、そのスパーキングレディーカップのほかに、佐藤博紀騎手がディーズミッションで逃げ切った13日の夾竹桃特別(3歳1組)、今野忠成騎手のヴァロノスが無傷の8連勝を達成した16日の城ケ島特別(B3)を振り返っていただきました。(聞き手・構成/斎藤修)

スパーキングレディーカップ(優勝馬ラヴェリータ)2009年7月15日(水)
岩田康誠騎手
斎藤 ラヴェリータの岩田康誠騎手は、今回は4番手からでした。
竹見 岩田騎手は、すでに川崎コースをよくわかっていますから、クィーンオブキネマを先に行かせて外に出そうと思ったのではないでしょうか。でも、外からシスターエレキングが来て、さらに外からメイショウバトラーも来たので、ずっと内を回ることになりました。この馬は、こういう馬群に包まれるレースは初めてだったでしょうか。それでもやはり追ってからよく伸びましたね。
斎藤 クィーンオブキネマは1400メートルまでしか勝ち星がなかったんですが、よく粘りました。
竹見 今回は内田博幸騎手がいいペースで先行しました。この馬が直線まで先頭で粘っていたおかげで、ラヴェリータも4コーナーでうまく外に出すことができました。3~4コーナーあたりでこの馬が下がってきたら、ラヴェリータは行き場をなくしていたと思います。ラヴェリータは、これで夏は休ませて、秋はまた期待できますね。
斎藤 メイショウバトラーは、今回は外枠に入って、砂をかぶらない理想的な位置でレースができたと思いますが、3着でした。
竹見 そうですね。掛かることもなくいいレースをしていますが、もう9歳ですから、よく走っていると思います。高橋成忠調教師は来年で引退ですから、それまでにもうひとつ重賞を勝ちたいと言ってましたよ。
斎藤 ヤマトマリオンは休み明け2戦目で、もう少しいい勝負をするかと思ったのですが。
竹見 3コーナー手前のいいところで仕掛けていきましたが、案外なレースでした。1800メートルとか、2000メートルとか、もう少し長いところのほうがいいのかもしれません。これが実力ではないでしょうから、また巻き返してくるでしょう。
夾竹桃特別(優勝馬ディーズミッション)2009年7月13日(月)
佐藤博紀騎手
斎藤 ディーズミッションの佐藤博紀騎手は、スタートで気合を入れたら、ちょっとよれましたね。
竹見 おそらくハナに行けと言われていたのではないでしょうか。無理やりという感じで行きましたね。
斎藤 バテそうで、最後まで粘ったというレースぶりは、竹見さんの現役時代の得意なパターンでしたね。
竹見 (笑い)。今日は思い切ってハナに行ったのが勝因でしょう。2番手あたりに控えていたのでは、勝てなかったかもしれません。
斎藤 ディーズミッションは、逃げたときに好成績が多いですね。
竹見 4番人気でしたが、今回は勝負にきていたのではないでしょうか。佐々木仁(調教師)さんは、馬をつくるのがうまいんですよ。
斎藤 4コーナーでは、ディーズミッションに戸崎圭太騎手のトリムが並びかけてきましたが、直線を向いてまた離しました。
竹見 ハナに立ってマイペースで行けたぶん、最後にまた伸びたのでしょう。佐藤博紀騎手は、最近では自厩舎(山崎尋美厩舎)のほかにも、足立さん(足立勝久調教師)のところの馬とか、いい馬にたくさん乗るようになったので、かなり上達しました。やっぱり騎手は、いい馬にたくさん乗らないと。騎手として上達するには、勝つことが一番ですから。
城ケ島特別(優勝馬ヴァロノス)2009年7月16日(木)
今野忠成騎手
斎藤 本田紀忠騎手のスキマチェリーが後続を離して行きましたが、これは作戦ですかね。
竹見 おそらく前に行けと言われていたんでしょうね。本田騎手はまじめですよ。これも浦和の馬ですが、最近では浦和まで調教をつけに行っているようですから。
斎藤 ヴァロノスは、今回もそうですが、ここまでずっと一方的なレースですね。
竹見 馬格もあるし、行かせようと思えば前に行けるんでしょうが、今回も控えて砂をかぶせるレースをしているので、この馬はこれからが楽しみですね。池田さん(池田孝調教師)のところは、いい馬が多いですね。
斎藤 この馬はどのくらいのクラスまで行きますかね。
竹見 今のところ連勝していますが、一度負けることも必要ではないでしょうか。ただ、必ずしも前に行かなくてもいい馬で、差して勝っているので、まだ4歳ですし、これから期待できると思います。

2009年8月10日

ページトップへ