佐々木竹見・王者の眼差し
プロフィール
佐々木竹見

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。
"鉄人"の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

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関東オークス&'17スパーキングナイトチャレンジ&旧吉田茂邸オープン記念

(2017/7/3)

6月12~16日の開催でメインとして行われたのは関東オークスです。1番人気クイーンマンボの圧勝で、鞍上はクリストフ・ルメール騎手。逃げた川崎のアップトゥユーは5着でした。

13日に行われたJRA交流のスパーキングナイトチャレンジは、瀧川寿希也騎手のグランフィデリオが直線で抜け出し、大外から追い込んだ的場文男騎手のゼンノスサノヲをハナ差でしりぞけての勝利でした。

そして開催最終日の第10レース、赤岡修次騎手のシゲルヤマトが差し切りました。期間限定騎乗中の赤岡騎手はこの日4勝、この開催9勝を挙げて、開催リーディングとなりました。

今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

関東オークス(優勝馬クイーンマンボ)2017年6月14日(水)
関東オークス(優勝馬クイーンマンボ)
斎藤 逃げたのは真島騎手のアップトゥユー、勝ったクイーンマンボは外めの3番手につけていました。
竹見 真島騎手はおそらく逃げるのを決めていたので、気合をつけて行ったのでしょう。ただ内枠で吉原騎手のイントゥゾーンが好スタートを切っていますから、その2番手でもよかったように思います。真島騎手は先頭に立ってからはうまくペースを落としましたが、クイーンマンボのルメール騎手は、ペースが落ちついたところで無理せずぴたりと3番手につけました。横山騎手のアンジュデジールは、そのうしろでぴったりマークしていました。
斎藤 ルメール騎手は抜群の手ごたえのまま、3コーナー過ぎで前をとらえにいきました。
竹見 ルメール騎手は余裕もありましたし、馬の力も違います。完璧なレースができたと思います。直後でマークしていたアンジュデジールをまったく問題にせずの圧勝でした。
斎藤 逃げたアップトゥユーは離れた5着でした。
竹見 逃げ馬でも、ゲートを出て一気に仕掛けていく馬と、フワッと先頭に立っていく馬とがいます。テンに無理している馬は、残り200メートルのあたりで一杯になることがよくあります。少し仕掛けただけで行ける馬なら、最後まで粘りがききます。
斎藤 森泰斗騎手のステップオブダンス(大井)が3着でした。
竹見 森騎手はいつでも落ち着いて乗っています。今回はラチ沿いの4番手、絶好位で折り合いをつけて、じっとしています。直線を向いて外に持ち出したあたりでは、前のアンジュデジールをとらえようかという勢いがあり、最後は離されましたが、南関東の馬だけであれば能力が抜けています。
'17スパーキングナイトチャレンジ(優勝馬グランフィデリオ)2017年6月13日(火)
斎藤 勝った瀧川騎手のグランフィデリオは最後方からでした。
竹見 2着だった的場騎手(ゼンノスサノヲ)も後方3番手からです。交流レースはテンのペースが速くなることがあるので、うしろから行ったほうが展開がハマることがあります。このレースでも増田騎手のトキノセレブがハナに行って、何頭かが競りかけていって、前は厳しい流れになりました。
斎藤 勝った瀧川騎手は10番人気、的場騎手は7番人気でした。
竹見 人気馬は勝ちに行こうとすれば、ハイペースでもどうしても前へ前へとなります。人気薄なら気楽に着狙いの競馬もできるし、ペースが速いと思えばゆっくりついていくこともできます。それで結果的に今回のようにうまくハマることがあります。瀧川騎手も的場騎手も、3コーナーから仕掛けていきました。
斎藤 瀧川騎手は直線では馬群の間を突いてうまく抜け出してきました。
竹見 4コーナー手前では前が6頭ほどの集団になっています。うしろからまくってきた馬は、あそこでは外を回るのが普通です。ところが瀧川騎手はその馬群の間、1頭分空いた隙間をよく見ていて、そこから抜け出しました。大外を回ってきた的場騎手のゼンノスサノオはゴール前鋭く伸びて、とらえたかという勢いでしたが、ハナ差届いていませんでした。瀧川騎手も大外を回していれば、おそらく的場騎手が差し切っていたでしょう。結果的に馬群の中を突いてコースロスが少なかったぶんの勝利となりました。
斎藤 1番人気、山崎誠士騎手のグランユニヴェールは4着でした。
竹見 先行集団のうしろ、6番手あたりを追走して、前の速いペースにはつられずにうまく乗っています。それでも1番人気ですから勝ちに行かなければならず、そのぶん仕掛けのタイミングが早くなったのは仕方ありません。勝った瀧川騎手は、おそらく1番人気の山崎騎手が仕掛けるタイミングを見ていたと思います。
旧吉田茂邸オープン記念(優勝馬シゲルヤマト)2017年6月16日(金)
斎藤 前2頭が競り合いながら飛ばして、赤岡騎手のシゲルヤマトは中団よりうしろに下げての追走でした。
竹見 瀧川騎手(ノボラッシェ)がすんなりと先頭に立ったところ、大外から見澤騎手(トキノディライト)が競りかけていって互いに譲らず、2頭は完全にオーバーペースです。内の瀧川騎手が譲らなければ、外の見澤騎手は控えるべきだったと思います。これでは共倒れになってしまうのは明らかです。こういう展開になれば、終いに脚を使える馬の出番になります。それでも瀧川騎手のノボラッシェは直線を向いても先頭で粘っていましたから、すんなり行ければ勝ち負けになったのではないでしょうか。
斎藤 直線で先頭に立ったのは、高橋利幸騎手のクレスクントでしたが、赤岡騎手が差し切りました。
竹見 離れた3番手の山崎誠士騎手(トラストナイト)あたりがちょうどいいペースかと思いましたが、それでも速かったようです。5番手から3コーナーで仕掛けていった高橋騎手が抜け出しましたが、さらにうしろから来た赤岡騎手のシゲルヤマトが直線で脚を使って、ゴール前で一気に入れ替わりました。競り合って失速したのが人気2頭で、勝ったシゲルヤマトは3番人気。最大限に末脚を発揮しての快勝でした。

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