佐々木竹見・王者の眼差し
プロフィール
佐々木竹見

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。
"鉄人"の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

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全日本2歳優駿&フロイデ特別&2016冬 川崎ジョッキーズカップ

(2016/12/27)

12月の川崎開催メインとして行われたJpnIの全日本2歳優駿は、JRAの牝馬リエノテソーロが3馬身差の圧勝。デビューから4連勝としました。

4日目の最終レースとして行われたフロイデ特別は、中央から転入初戦のデルマハンニャが快勝。鞍上は山崎誠士騎手でした。

そして最終日に行われた恒例の川崎ジョッキーズカップは、14頭立て12番人気、杉村一樹騎手のアズマタイムズがギリギリ逃げ粘っての勝利となりました。

今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんに伺いました。(聞き手・構成/斎藤修)

全日本2歳優駿(優勝馬リエノテソーロ) 2016年12月14日(水)
全日本2歳優駿(優勝馬リエノテソーロ)
斎藤 勝ったリエノテソーロは、4番手の内につけました。
竹見 リエノテソーロは、いいスタートを切って、ダッシュ力もあります。一旦先頭に立ちかけましたが、今回は意識して下げたと思います。行く馬がいればそのうしろにつけてということで、余裕もありました。
斎藤 4コーナーでは外に持ち出して、横綱相撲でした。
竹見 3コーナーで外にいたメイソンジュニアが後退したので、難なく外に持ち出すことができました。リエノテソーロの吉田隼人騎手には最後まで余裕がありました。今回のように、前に馬を置いて控える競馬をしていれば、まだまだ強くなります。
斎藤 2着のシゲルコングは、外に逃げるような感じでのスタートでした。
竹見 それでも馬が行く気になって、逃げたローズジュレップのうしろにつけました。道中、フワフワするところもあって、直線では首も高かったので、そのあたりが修正できれば、さらによくなってくるかもしれません。
斎藤 兵庫ジュニアグランプリを勝った北海道のローズジュレップが逃げて3着に粘りました。
竹見 4コーナーから直線を向いたあたりでは一杯になって、早めから追っていたわりには最後までよく粘ったと思います。4着馬には4馬身差をつけていますから、やはり力はあります。結果的に、前に行った4頭のうちの3頭での決着でした。
フロイデ特別(優勝馬デルマハンニャ) 2016年12月15日(木)
斎藤 1番人気に支持されていたデルマハンニャは控えて4番手からの追走でした。
竹見 山崎騎手は、2番枠のケイティマーヤが行くというのはおそらくわかっていたでしょうから、それを行かせてというレースになりました。
斎藤 直線では逃げたケイティマーヤをとらえるだけという楽なレースでした。
竹見 向正面からペースが上って、3コーナー過ぎでは外にいる2頭の手ごたえがよくないのはわかっていたでしょう。その2頭が下がったところから4コーナーで抜けていきました。もし外の2頭がバテなければ、じっとしていて4コーナーから直線では内を突いたかもしれません。山崎騎手は、おそらく力の違いをわかっていて、余裕のレースでした。今回は控えましたが、行こうと思えば行けたでしょうし、今後のためにも控えてレースをしたのはよかったと思います。上のクラスに行っても勝てそうです。
2016冬 川崎ジョッキーズカップ(優勝馬アズマタイムズ) 2016年12月16日(金)
斎藤 杉村騎手のアズマタイムズが行って、先行争いが激しくなりました。
竹見 最初の直線で、杉村騎手はムチを入れてハナをとりに行きました。1コーナーでは外らから拜原騎手のシゲルダンジリが競りかけてきて、ペースが速くなったと思います。それで縦長の展開になりました。
斎藤 杉村騎手は3コーナー手前あたりから後続との差を広げました。
竹見 普通なら3コーナーあたりでは後続が迫ってくるところですが、後続の馬たちは差を詰めてこられませんでした。杉村騎手は途中からペースアップして後続にうまく脚を使わせました。人気もなかったし、思い切って行く作戦がよかったと思います。4コーナー手前では田中涼騎手のフェスティヴデールが迫って、そのまま交わすかと思いましたが、そのフェスティヴデールのほうが一杯になってしまいました。杉村騎手はかなり無理して行ったと思いますが、ゴールまでよくもたせたと思います。
斎藤 ゴール前で2番人気、今野騎手のファイアフォンテンが迫りましたが、ハナ差まででした。
竹見 今野騎手は前とは離れた5、6番手あたりを追走して、3コーナー手前から徐々に前との差を詰めてきました。おそらくアズマタイムズがバテると見て乗っていたのではないでしょうか。最後は勢いがありましたが、とらえきれませんでした。それだけ勝った馬がよく粘ったということです。

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