佐々木竹見・王者の眼差し
プロフィール
佐々木竹見

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。
"鉄人"の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

記事

江の島特別&特選2歳&鵠沼特別

7月24~28日の開催では重賞競走が組まれていませんでしたが、今回も3レースを取り上げました。

まず25日(水)の最終レースに行われた江の島特別(B3二)は、伊藤裕人騎手のカネツパワーが逃げ切り勝ち。昨年12月以来の勝利となりました。

26日(木)の第1レースに行われた2歳戦は、今野忠成騎手のハナタバがデビュー2戦目の逃げ切り勝ちとなりました。

同日第9レースの鵠沼特別(3歳1)を制したのはオートレジスタで、杉村一樹騎手に乗り替わっての勝利でした。

いずれも逃げ切り勝ちのレースを、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

江の島特別(優勝馬カネツパワー) 2012年7月25日(水)
斎藤 カネツパワーの伊藤騎手は、スタートではムチを入れて行きました。
竹見 スタート後はちょっと無理して行きましたが、競りかけてくる馬もなくすんなりとした展開になりました。
斎藤 3コーナーあたりの勝負どころでもうしろから仕掛けてくるような馬がなく、3~4コーナーで並びかけてきたのは坂井英光騎手のサウンドボーイだけでした。
竹見 仮に並びかけて来られたとしても、前に行かせないというつもりでいたと思います。直線では佐藤裕太騎手のノースリッジが伸びてはきましたが、前をとらえるほどではなく、ほかに伸びてくる馬もいませんでした。カネツパワーは枠順がいいこともあって、思い切って前に行ったことが結果につながったと思います。伊藤騎手は、騎乗しているときの姿勢もきれいです。
特選2歳(優勝馬ハナタバ) 2012年7月26日(木)
竹見 2歳戦で、ほとんどの馬が初めての1400メートル戦だけに、フラフラしている馬が多いですね。
斎藤 今野騎手のハナタバが大外枠でも先頭に立ちました。
竹見 ハナタバはダッシュ力のある馬です。それほど仕掛けずスッと先頭に立って、今野騎手は後続を確認しながら引き付けてレースをしています。ペースを上げずにうまくレースを運びました。
斎藤 最後は石崎駿騎手のハクシュウベリーとの接戦になりました。
竹見 直線ではハクシュウベリーに交わされてしまうかと思いましたが、ハナタバは競り合って強い馬のようです。勝負根性もあります。
斎藤 スガキュールが3着に迫りましたが、町田騎手はちょっと苦労しているような感じでした。
竹見 スガキュールは、スタート後の直線では砂をかぶるのを嫌がったのか、頭を上げてしまっています。それでもよく3着に来ました。こういう馬はメンコを取ったほうが走るかもしれません。町田騎手はスタートしてすぐに控えてしまいましたが、スタートは悪くなかったので、そのまま先行してしまえば砂をかぶることもなく、スムーズにレースができたのではないでしょうか。直線で内によれるところもありましたが、よく3着まで来たと思います。それでも一度砂をかぶせるレースをしたことで、これからよくなるでしょう。
鵠沼特別(優勝馬オートレジスタ) 2012年7月26日(木)
斎藤 1番人気になった杉村騎手のオートレジスタがハナを切りました。
竹見 すんなり先頭に立って、楽なてごたえで、ずっと抑えたままだっただけに、オートレジスタは最後まで余力がありました。
斎藤 オートレジスタについていったのは東川騎手のグランセブンシーズだけで、それが早めに後退してしまったので、オートレジスタにとっては楽になった面はありましたか。
竹見 向正面あたりでほかにも早めに競りかけてくる馬でもいれば、もっと際どいレースになった可能性はありますが、平均ペースでこういう展開だと、ハナを切れる馬にはかないません。勝った馬は1番人気で、力があることをほかの騎手もわかっていたので、競りかける馬もいなかったのかもしれません。
斎藤 4コーナーでは、山崎騎手のハヤブサロケットと、町田騎手のブルーノートが直後に迫りましたが、最後は突き放されてしまいました。
竹見 ハヤブサロケットは7番枠からスタート後の直線でうまく内に入れて、絶好位につけました。ブルーノートは後方から向正面で上がってきました。最後に離されたのは、力の違いもありましたが、勝った馬が楽をしていた分だと思います。

2012年8月20日

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