佐々木竹見・王者の眼差し
プロフィール
佐々木竹見

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。
"鉄人"の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

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報知オールスターカップ&神奈川県畜産会会長賞 初詣特別&門松特別

(2016/1/20)

2016年正月開催のメインは報知オールスターカップ。勝ったのは金沢から遠征のグルームアイランドで、鞍上は川崎で期間限定騎乗中の吉原寛人騎手でした。

元日の最終レースに行われた神奈川県畜産会会長賞 初詣特別は、瀧川寿希也騎手のポイントパイパーが後方から豪快なマクリを決めました。また3日に行われた3歳馬による門松特別は、伊藤裕人騎手のブルーワイルドがゴール前の接戦を制しました。

今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

報知オールスターカップ(優勝馬グルームアイランド) 2016年1月3日(日)
報知オールスターカップ(優勝馬グルームアイランド)
斎藤 グルームアイランドは後方3番手からでした。
竹見 この馬はスタートでダッシュがつかないぶん、こういう長い距離で力を発揮すると思います。吉原騎手が仕掛けたのは、2周目向正面の半ば過ぎからでした。
斎藤 3~4コーナーでは大外からまくっていって、ゴール前の脚は際立っていました。
竹見 道中は無理せず溜めていって、この馬の持ち味を十分に引き出した騎乗でした。こういう大型馬は、慌てて前半から仕掛けていっては結果が出ません。長くいい脚を使って、最後にぐいっと伸びました。2着だったバト-ドールの真島騎手も内の経済コースをうまく乗ってきましたが、グルームアイランドは吉原騎手だからこそ勝てたというところはあったかもしれません。
神奈川県畜産会会長賞 初詣特別(優勝馬ポイントパイパー) 2016年1月1日(祝・金)
斎藤 瀧川騎手のポイントパイパーは後方3番手からの追走でした。
竹見 スタート後のスタンド前では4頭が競り合って、1コーナーに入る手前まで、テンのペースが速くなりました。瀧川騎手は4番人気ということもあったと思いますが、落ちついていました。
斎藤 向正面では最後方という場面もありました。
竹見 3コーナー手前でティボリゲールの町田騎手が仕掛けたのを見て、そのうしろから仕掛けて行きました。流れが速かったので、結果論にはなりますが、待って仕掛けたのはよかったと思います。
斎藤 そのあと、大外からまくって行きました。
竹見 前の馬たちが一団になって、先行した馬たちはバテてきますから、あそこは町田騎手について大外に行くしかなかったです。
斎藤 ゴール前で豪快に差し切りました。
竹見 持ち味の終いの脚を生かした、いい騎乗だったと思います。瀧川騎手はスタートがいいのと、時に思い切った騎乗をするのもいいところです。このレースは控えての追走でしたが、スタートして積極的に好位をとりに行く姿勢が結果につながっています。
門松特別(優勝馬ブルーワイルド) 2016年1月3日(日)
斎藤 勝ったブルーワイルドの伊藤騎手は4番手に控えての追走でした。
竹見 伊藤騎手はスタートで行く気を見せましたが、外からそれ以上に気合を入れて行く馬がいたので抑えました。前3頭は向正面でも競り合っていましたから、控えて正解でした。
斎藤 直線では外から伸びて接戦を制しました。ゴール前伸びたブルーコンドルとはクビ差でした。
竹見 先行争いを避けて控えたのは好判断です。4番手集団の最内を追走して、4コーナーでは外に持ち出して追ってきて、最後はよく差し切りました。2着のブルーコンドル(楢崎功祐騎手)も伸びていましたが、直線を向いて最内を突いたところ、前が壁になって抜け出すところがなく、何頭分か外に持ち出すロスがありました。ブルーコンドルはそれがなければもっと際どいレースになっていたかもしれません。勝ったブルーワイルドは向正面からほとんど追い通しで、それでも最後まで脚を使っていました。伊藤騎手は好騎乗だったと思います。馬も強かったですが、これは乗り役を褒めるべきでしょう。

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