佐々木竹見・王者の眼差し
プロフィール
佐々木竹見

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。
"鉄人"の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

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エンプレス杯&楽天競馬10周年記念&雪柳特別

(2017/3/23)

2月から3月にかけての開催のメインはエンプレス杯JpnII。断然人気に支持されたJRAのワンミリオンスが盤石の競馬で、前走TCK女王盃JpnIIIから連勝。鞍上は戸崎圭太騎手でした。川崎で期間限定騎乗中の吉原寛人騎手が騎乗した、大井のリンダリンダも2着に健闘しました。

初日のメイン、楽天競馬10周年記念では、山崎誠士騎手のシゲルジダイマツリがゴール前の接戦から抜け出しました。2日目に行われた3歳特別、雪柳特別では、瀧川寿希也騎手のポッドルイージが直線で先頭に立って楽勝、デビュー2戦目から3連勝となりました。

今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

エンプレス杯(優勝馬ワンミリオンス) 2017年3月1日(水)
エンプレス杯(優勝馬ワンミリオンス)
斎藤 ペースが落ち着いて、スタンド前の直線では森泰斗騎手のヴィータアレグリアが一気に先頭に立ちました。
竹見 ペースは相当遅かったので、仕掛けて一気に先頭に立った森騎手はいい判断でした。勝ったワンミリオンスの戸崎騎手は、迷わずそれについて行きました。これでワンミリオンスにとっては最高に向いた流れになりました。
斎藤 戸崎騎手は4コーナー手前から前をとらえに行って、直線では楽に抜け出しました。
竹見 4コーナーではヴィータアレグリアの森騎手もまだ楽な手ごたえでしたが、勝ったワンミリオンスは追われてからの力が違いました。吉原騎手のリンダリンダは、好スタートから控えて脚を溜めたぶん、ゴール前で伸びて2着に入りました。
斎藤 瀧川騎手のポッドガゼールが外を伸びて4着でした。
竹見 ポッドガゼールはTCK女王盃でも直線追い込んで4着だったように、末脚が切れるこの馬は、直線の長い大井のほうがいいかもしれません。
斎藤 2番人気のタマノブリュネットは6着でした。
竹見 前半スローに流れて、向正面に入って徐々にペースが上ったので、好位よりうしろの馬には厳しい流れになりました。
楽天競馬10周年記念(優勝馬シゲルジダイマツリ) 2017年2月27日(月)
斎藤 山崎誠士騎手のシゲルジダイマツリは、スタートして押していったわりには5番手からになりました。
竹見 外から何頭かが一気に来ましたから、1コーナーに入るまではペースが早かったと思います。山崎騎手はそれで内の5番手ですから、むしろいい位置が取れました。前で今野騎手(ビッグスター)と見澤騎手(ドリームエルダー)が競り合って流れが速くなったことで向正面では馬群がバラけて、レースはやりやすかったと思います。すぐ外に1番人気のデルマハンニャ(本田正重騎手)が併走する形になって、2頭はいい位置を追走できました。
斎藤 山崎騎手は4コーナー手前で行き場をなくしたような場面がありました。
竹見 逃げていた今野騎手の手ごたえが一杯になっていて、前が壁になって抜け出すところがないかという場面もありました。外を回した本田騎手は、これで勝ったと思ったかもしれません。
斎藤 今野騎手は直線でうしろを振り返っています。
竹見 山崎騎手が声をかけたのか、今野騎手がうしろに気づいたかだったのでしょう。ただ今野騎手は手ごたえが一杯になっているわりには粘っていました。山崎騎手はギリギリ1頭分だけスペースができたところからうまく抜け出してきました。道中のコースの取り方はよかったです。最後、ゴール前でギリギリ抜け出せたのは、運もあったと思います。
雪柳特別(優勝馬ポッドルイージ) 2017年2月28日(火)
斎藤 瀧川騎手はスタートして出ムチを入れて行きました。
竹見 逃げたアンジュレーヴのダッシュがよかったのに対して、瀧川騎手のポッドルイージは、テンのスピードはあまり速くないようで、2番手からになりました。それでも外目の枠だったのがよかったと思います。内枠だったら馬群に包まれていたかもしれません。
斎藤 滝川騎手は3コーナー過ぎで、抜群の手ごたえのまま先頭に立ちました。
竹見 直線を向いて抜け出してから、瀧川騎手は何度もうしろを振り返っています。まだ若いので、うしろの馬が気になったのでしょう。ハナに立ってからは馬が遊ぶようなところがあって、内によれていっていますから、そのあたりが修正できればまだまだ強くなりそうです。
斎藤 ポッドルイージは、デビュー戦で負けたあと、これで3連勝です。
竹見 今回の1400メートルの勝ちタイム1分31秒3は、この時期の3歳馬としては好タイムです。すでに500キロ近い大型馬なので、大事に使っていけば出世すると思います。

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